網膜疾患
網膜とは?
網膜とは、外から目の中に入った光を受容する神経細胞からなる膜組織です。
カメラに例えると角膜や水晶体はレンズ、網膜はフィルムになり、視覚において非常に重要な役割を持つ組織です。
網膜に異常をもたらす疾患は多岐にわたり、視力を失う可能性のある疾患もたくさんあります。
中には緊急性の高い疾患も含まれますので、見え方に何か変化があった場合はできる限り早く眼科を受診することをお勧めします。
大学病院で数多くの網膜疾患を治療してきた経験を踏まえ、患者様に適切な治療を行ってまいります。
状況により、専門の病院、大学病院などと医療連携を行い、紹介させていただくことがあります。
症状
自覚症状はさまざまで、視力低下、霞み、歪み、視野欠損などが起こります。
黄斑という網膜の中心に異常がある場合に物が歪んで見えることがあります。
疾患は多岐にわたり、黄斑前膜、黄斑円孔、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、近視性網脈絡膜新生血管などが考えられます。
疾患
黄斑前膜
黄斑部に膜が張ることにより歪みや視力低下を起こします。
年齢による変化で起こる場合と、以前に網膜に病気が起きた場合にも起きます。
視力や歪みの自覚症状が少ない場合は定期的に経過観察を行いますが、悪化が認められた場合、硝子体手術という方法で、膜を除去します。
黄斑円孔
黄斑部に穴が空くとこにより視野中心が見えなくなる疾患です。
外傷によるものは自然軽快することがありますが、ほとんどの場合は硝子体手術をすることで閉鎖を試みます。
あまり時間が経つと閉鎖しにくくなってしまいます(3ヶ月前後)ので、早めに手術をすることをお勧めします。
加齢黄斑変性
加齢により黄斑に老廃物がたまり、新生血管という非常に脆い血管が発生することにより、視力低下や、歪みを起こします。
治療は光線力学療法と抗VEGF薬硝子体内注射となります。
当院ではアイリーアやルセンティスといった抗VEGF療法を行います。
予防は紫外線を避ける、禁煙(副流煙を含む)、サプリメント摂取です。
網膜剥離
硝子体という眼内のゼリー状の組織が網膜を引っ張ることにより網膜に穴があき(網膜裂孔)、徐々に網膜が剥がれていく疾患で、飛蚊症から始まり、視野欠損、視力低下を起こし、最後は失明してしまう可能性のある非常に危険な疾患です。
飛蚊症が出て、穴があいているだけの状態であれば網膜レーザー治療で網膜剥離を防ぐことができますが、一旦網膜剥離に及んでしまうと網膜内陥術もしくは硝子体手術を行います。
診断
診断には視力検査、細隙灯検査、眼底検査、OCT(網膜光干渉断層計)を用いて網膜および黄斑の形態を観察します。
当院には最新のスウェプトソースOCTを備えており、網膜の高精度な解析ができるほか、網膜の血流状態を造影剤を使用せずに評価できるOCTアンギオグラフィーを採用しています。
OCTアンギオグラフィーを用いることで低侵襲に網膜循環動態が把握することができ、治療に非常に有効です。
黄斑前膜や黄斑円孔では硝子体手術を行いますので、ご相談の上近隣の硝子体手術を行える施設に紹介させていただきます。 加齢黄斑変性や網膜静脈閉塞症、脈絡膜新生血管などは抗VEGF薬の硝子体内注射やステロイドテノン嚢下注射など、状況により対応してまいります。 糖尿病網膜症などはレーザー治療も行います。